あの時分にWalterの父親は、しかしこう考えていたのかもしれない。
「君が今自分のものだと思っている思想や主張は、他ならぬぼくも通ってきたし、意外と多くの人が経験してきた種のものさ。君も成長すればそのことに気付く。君は今のとおり、かっこいいものにあこがれ続ければ、美しいものにあこがれ続ければいい。ちょうど良いタイミングで壁にぶつかるよ。そのときまた今みたいに悶々と悩めばいいのさ。逆に言えば、悩むなんてそういうときだけでいいんだ。ぼくはかっこいいものには一通りあこがれてきたんだ」
「小さいころに周りの人がぼくに悟らせてくれていたら、とおもうことはときどきある。だいたいちょっと偏屈だよ、こんな子どもは。でも、そういうものだったのさ。今だってそうなるかもしれない。いつだってぼくは完璧じゃないんだ」
「君が生まれてきたとき、これは君には内緒だけど、ぼくはこう思った。この世界にようこそ。それと、この乱痴気さわぎに君を巻き込んでしまってすみませんでした」
Akihiro