-topocrat-


There's lots and lots for us to see,there's lots and lots for us to do,

「うれしげ」を地で行くにんげんが、世の中と自分との距離をはかるために、なにかしら書いていくブログです。

Daydream-Believer

「同い年になって」

あの時分にWalterの父親は、しかしこう考えていたのかもしれない。

「君が今自分のものだと思っている思想や主張は、他ならぬぼくも通ってきたし、意外と多くの人が経験してきた種のものさ。君も成長すればそのことに気付く。君は今のとおり、かっこいいものにあこがれ続ければ、美しいものにあこがれ続ければいい。ちょうど良いタイミングで壁にぶつかるよ。そのときまた今みたいに悶々と悩めばいいのさ。逆に言えば、悩むなんてそういうときだけでいいんだ。ぼくはかっこいいものには一通りあこがれてきたんだ」

「小さいころに周りの人がぼくに悟らせてくれていたら、とおもうことはときどきある。だいたいちょっと偏屈だよ、こんな子どもは。でも、そういうものだったのさ。今だってそうなるかもしれない。いつだってぼくは完璧じゃないんだ」

「君が生まれてきたとき、これは君には内緒だけど、ぼくはこう思った。この世界にようこそ。それと、この乱痴気さわぎに君を巻き込んでしまってすみませんでした」

Akihiro

「父親」

ひとことで言うと、Walterの父親は、父親であることを放棄した人だった。

父親としての役割を、社会に任せた人だった。
かといってその息子に対する関心がないわけではなく、むしろ息子として息子を見るというよりは、一人の人間として息子を見るというといった具合に、要は「父親」の覚悟がなかっただけのことなのかもしれない。

そして今になって、Walterは父親になった。
彼の父がそうであったように、彼も今、父親になる。

Akihiro

「躊躇」

Roseが部屋を出ていき、ドアを「パタン」と締めると、Walterはため息をひとつ、彼の周りにただよう空気にむかい吐きだした。
自分に「人生」を人に教える権利があるのか否か、つまり、何を善しとして、何を悪いとするかにつき、自分の結論というものを人に披露することが許されているのか。
この問題は、Roseを彼が授かったときからの懸案事項であり、そして、これまでも幾度となく、Roseが「人生」にぶつかる度に顕われてくるものであった。
その度に、彼は父親という職業について悩み、その時々に都合の良い結論を得ては、自分は今はまだ良い父親である、ということに満足するのである。

そして、彼は今、悩んでいる。
そうすると、彼の脳裏に1人の男の姿が浮かんでくる。
そう、父親である前に、自由の人として生きた、彼の父のことを。

「宝物」

Roseは息を切らして、Walterの部屋に駆け込んだ。
「ねえdad、今日ね、」
「Rose、ただいまも言わないでいきなり話を始めてはいけないよ。どうしたんだい。話を聞かせておくれ。」
Roseは赤みを帯びた頬をさらに赤らめて、大きく息を吸い込んだ。
「ごめんなさい、今日ね、学校でJohnが私のスカートをひっぱっていじわるしたの。私ね、仕返ししようと思って、Johnがプリントを取りに前に出て行くときに、足を引っ掛けてJohnを転ばしたの。ケガはしなかったけど、私先生にすごく怒られたの。だから、、、ごめんなさい。」
Walterは、飲みかけのコーヒーを一口すすって、Roseの前にひざで立ってこう言う。
「そうだったんだね、話してくれてありがとう。悲しいことだね。お父さんには、2つ悲しいことがある。1つには、お父さんとお母さんがこの世で一番宝物に思うRoseがいじわるされて、悲しんでるってこと。2つめは、Johnのお父さんとお母さんも、Johnのことを宝物に思っているってことを、君に教えておくのを忘れていたこと。今頃、Johnもお家でぼくと同じようなことを、お母さんに聞かされていると思うんだ。さ、着替えなさい。Johnのお家に行って、一緒に謝ろうね。」

Akihiro

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