際司、元気にしていますか。
この世界では、根こぎという病苦に多くの人が苦しんでいます。この間の新聞の投書欄にも、苦しんでいる中学三年生がいたの。
「三年間、画面の前だけで過ごした」
いま、わたしたちは携帯電話やパソコンという道具を早くから手にして、それを片手に世界に飛び込んでいきます。出来事は瞬く間に、次から次へ電子の世界で繰りひろげられるの。見知らぬ誰の子かも分からぬような人間を愛すことが得意で、目の前にいる人間を愛すことが苦手。これがわたしの時代の「気分」。
あなたの時代はどうですか?人間が人間だから大事にされる。そういう気分が残っていたら、それはわたしのおじさんのことを少しでも覚えている人がまだ生き残ってるってこと。Vで名前がはじまるおじさんね。そうだったらすごくうれしい。
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1933年以後、金持ちは金持ちだけで集まって、幸せになっていました。これはFで名前がはじまるおじさんの持論だったわ。私のいた2010年もだいたいはそんな感じ。でもみんな金持ちを愛してやまないの。金持ちは金持ちゆえに大事にされる、そんな時代です。
あなたの時代もきっとそうだと思うわ。そうだったらそれもすごく素敵。
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変なことばかり書きつくろってきたけど、際司、あなたがどんな立場の人間であれ、目の前にいる人を大事にしなさい。親切にしなさい。にっこり笑っていなさい。そっけない態度をとられたって、それはそれでいいじゃない。目の前にいる人に遺憾なく親切を敲きつけてみなさい。これが真剣勝負、真面目になるってこと。真面目になって、どんどん人間らしくなればいい。そう、漱石さんみたくあればよし。
怜