-topocrat-


There's lots and lots for us to see,there's lots and lots for us to do,

「うれしげ」を地で行くにんげんが、世の中と自分との距離をはかるために、なにかしら書いていくブログです。

愚鈍の人

書簡「あなたに」

際司、元気にしていますか。

この世界では、根こぎという病苦に多くの人が苦しんでいます。この間の新聞の投書欄にも、苦しんでいる中学三年生がいたの。

「三年間、画面の前だけで過ごした」

いま、わたしたちは携帯電話やパソコンという道具を早くから手にして、それを片手に世界に飛び込んでいきます。出来事は瞬く間に、次から次へ電子の世界で繰りひろげられるの。見知らぬ誰の子かも分からぬような人間を愛すことが得意で、目の前にいる人間を愛すことが苦手。これがわたしの時代の「気分」。

あなたの時代はどうですか?人間が人間だから大事にされる。そういう気分が残っていたら、それはわたしのおじさんのことを少しでも覚えている人がまだ生き残ってるってこと。Vで名前がはじまるおじさんね。そうだったらすごくうれしい。

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1933年以後、金持ちは金持ちだけで集まって、幸せになっていました。これはFで名前がはじまるおじさんの持論だったわ。私のいた2010年もだいたいはそんな感じ。でもみんな金持ちを愛してやまないの。金持ちは金持ちゆえに大事にされる、そんな時代です。

あなたの時代もきっとそうだと思うわ。そうだったらそれもすごく素敵。

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変なことばかり書きつくろってきたけど、際司、あなたがどんな立場の人間であれ、目の前にいる人を大事にしなさい。親切にしなさい。にっこり笑っていなさい。そっけない態度をとられたって、それはそれでいいじゃない。目の前にいる人に遺憾なく親切を敲きつけてみなさい。これが真剣勝負、真面目になるってこと。真面目になって、どんどん人間らしくなればいい。そう、漱石さんみたくあればよし。

単位、数にして三十八。

今日は学部の学業成績表交付日。

結果、卒業が決まるとともに4回生で単位をいちばん多く取得したイカ京という称号を手にすることになりました。

自分の大学生活について総括することはしたくないけど、【古代ギリシアにおけるピュシスとノモスの関係について説明した上で、これが中世キリスト教世界にどのように受け継がれたか】説明することについて、首席に近い評価を受けて卒業できることは、いいことのひとつです。いいことについては、ちゃんとほめてあげようと思うのです。

わるいことについておもうときは、あの素敵なおじさんの言葉を借りたくなります、"So it goes."。

「ま、そういうものだ」

でもぼくは素敵なおじさんになるにはまだ足りなくて足りないから、とりあえず『こころ』の先生の言葉でも胸に刻んでおくことにしようかしらん。

案山子

プリズム

ねえ、怜。ぼくはときどき思うんだ、この世のみんながぼくみたいな考えをしてなくて、ほんとに良かったって。世の中が黄色に見える君がいてくれて、ほんとに良かったって。それだけで、実は満足なんだ。

際司

Dignity

「プレゼントに」とアドバイスを店員に求めると開口一番「ご予算は」と聞いてくる店員には、いったいなんなんだろうと考えさせられる。モノが良ければ、幾らだってこっちは出すさ。「○万くらいで」とか言わせてみたところで、そいつをして「こんなに出してやったんだから」じみた精神を植えつけせしめるだけ。あつかましき人間の名産地だよ。

吝嗇の暮らしであっても、そのくらいの矜持は持ち合わせてるつもりなのに。モノが良ければ、相手が大事であれば、予算なんてない。財布にその気概がなくとも。

案山子

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Dignity, always dignity.

Singin' in the Rain

海に沈む

会うといつもなんだか心が見透かされてるような気分にさせられる人がいる。ひとりではない。ふたつの目が、おまえのことはみんなわかってるんだよと安心の世界へいざなう。ハムレット的人間としてのわたしの分裂する思考がいつものように戸惑い、そしていつものように臆病が知恵をうちのめす。

嗚呼、臆病がぬりかべのようだ!

嗚呼、臆病がぬりかべのようで、ぼくはきみの世界に往けぬ!

臆病などなければ!わたしが人間でなく、獣でさえあれば!

嗚呼、臆病の人が眠るこの海に、わたしもおぼれている。

案山子

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